次に、飲酒と不妊の関係性についても知っておきましょう。
妊娠中の飲酒は、胎児の奇形のリスクを高めたり、未発達や未熟児、あるいは何らかの健康を損なった状態で生まれてくるリスクを高めます。
妊娠中や授乳中のアルコール摂取は、できるだけ控えるのが良いと言われているのは、もはや常識ですよね。
しかし、妊娠を強く望む場合、妊娠しやすい体の環境を整えるためにアルコール摂取は妊娠する前から控え始めた方が良いことは、あまり知られていないかもしれません。
飲酒と不妊の関係性については、まだまだはっきりと解明されていない点も多くあります。
しかし、飲酒が不妊の確立を高めるというデータが存在しているのも事実です。
飲酒により体内にアルコールが入ると、アルコールは異物とみなされて胃や腸などから肝臓に送られて、分解されます。
その過程で大量に発生してしまう活性酵素の存在が、不妊と関わると考えられています。
活性酵素は、体を酸化させてサビさせる原因となるもので、老化や生活習慣病などにつながります。
本来人間の体には、活性酵素による酸化を防ぐ機能が備わっていますが、体内の活性酵素が増えすぎてそのバランスが崩れると、体に様々な悪影響を及ぼします。
アルコールの分解により多量に発生した活性酵素は、体内の健康な細胞を攻撃して酸化させ、機能を低下させる原因になります。
つまり飲酒によって大量に発生した活性酵素が、卵子の質を低下させて妊娠しにくくなったり、妊娠に関わる様々な機能を低下させて妊娠しにくい環境をつくり出してしまう可能性があるのです。
しかし、これはあくまでお酒を暴飲した場合、日常的に飲みすぎてしまう人の場合です。
たしなむ程度のアルコールの量であれば、体にそれほどの悪影響を与えることはないでしょう。
不妊にアルコールは絶対にだめだと飲酒を我慢しすぎると、そのストレスでも体内に活性酵素がたくさん発生してしまいます。
週に数日、少量の飲酒であれば、あまり気にしすぎることはありません。
過度なアルコールの摂取は、不妊以外にも様々な病気や体の不調の原因にもなります。
お酒が好きな人は常に適量を心がけ、飲酒と上手に付き合っていきましょう。
続いて喫煙と不妊の関係についてです。
喫煙がもたらす不妊に対する影響は、男女ともに深い関係性があると言われています。
タバコを吸っている人が妊娠を希望した時、妊娠に至るまでの期間が長くなるというデータがあります。
1年以上妊娠しない人の数が、タバコを吸わない人の場合と比べて20~30%高くなると言われています。
また、妊娠を希望してから3.5カ月以内に妊娠する人が、喫煙しない人で約60%なのに対し、喫煙者は約40%に低下し、9.5ヶ月以内の妊娠率は、喫煙しない人が約80%ですが喫煙者は70%以下と、喫煙者の方が妊娠率が低くなっていることが分かります。
体外受精においても同様で、体外受精における喫煙者の妊娠率は非喫煙者と比べて平均20%減少するという報告もあります。
タバコは、妊娠する可能性を低くするほか、妊娠するまでの期間を長くしてしまう可能性が大きいことも覚えておいてください。
・精子の数の減少
・精子の運動能力の低下
・奇形の精子の量の増加
などがあります。
精子が減少して不妊の確立を上げてしまうだけでなく、胎児の先天奇形の可能性を上げてしまうことにもなります。
タバコには発がん性があることは知られていますが、ニコチンやタールのほかにも、有毒な化学物質が200種類以上も含まれていると言われています。
・卵子の老化を早める
・卵巣機能の低下をまねき、閉経の時期が早まる
・子宮着床障害
・卵管障害
など、不妊につながる症状も多く、タバコと不妊は無関係とは言えないでしょう。
また、喫煙が流産の可能性を高めることも分かっています。
せっかく妊娠しても、タバコが原因で流産という結果に結びついてしまっては、意味がないと思います。
もちろん、これだけ有害な物質が含まれるタバコは、流産だけでなく先天異常の確率を何倍も上げてしまったり、胎児が健やかに育つ障害となることは間違いありません。
自分のためだけでなく、胎児にまで大きな悪影響を与えかねない喫煙は、やはりやめた方が良いと言わざるを得ないでしょう。
不妊について考えるのであればなおのこと、タバコの害についてもう一度考える必要がありそうです。