毎日のように夜更かしをしたり、睡眠時間が十分でなかったり、起きる時間がバラバラなど、睡眠による生活リズムの乱れは、妊娠しやすい体質を整えるうえで、改善しなければならない問題です。
次は、睡眠と不妊の関係性について見ていきましょう。
レム睡眠とは浅い眠りで、体は休んでいても脳は活発に動いている状態のことを言い、それに対してノンレム睡眠は脳も体も休んでいる深い眠りのことを言います。
一般的に私たちの睡眠は、まずノンレム睡眠から始まり、その後約90分1セットのサイクルでレム睡眠とノンレム睡眠が交互に繰り返されます。
起床時間が近付くにつれてレム睡眠の時間が長くなり、ノンレム睡眠は浅くなって体が起きる準備を始めていく仕組みです。
そして、このノンレム睡眠が妊娠と大きく関わる睡眠です。
人間の体は、ノンレム睡眠の時に成長ホルモンの分泌が盛んに行われています。
この成長ホルモンには、他のホルモンを調整するはたらきがあり、妊娠に必要な女性ホルモンの分泌にも影響を与えるため、妊娠しやすい体づくりにも役立ちます。
毎日しっかりと深い眠りにつくことで、成長ホルモンの分泌を促し、妊娠しやすい環境を整えていきます。
また、睡眠時に分泌される睡眠ホルモンも、妊娠に良い影響を与えると考えられています。
眠気を誘う作用のある睡眠ホルモンには、体内の活性酸素を抑制するはたらきもあります。
活性酸素には卵子を攻撃してしまう作用があるので、妊娠しやすい体質へと導くために、活性酸素を抑制する睡眠ホルモンのはたらきは大切です。
睡眠不足は睡眠ホルモンの分泌を減少させる原因になってしまうため、卵子の成熟を妨げて妊娠しにくい環境へとつながってしまう可能性があります。
睡眠は、1日のうちでもかなりの時間を要するものです。
毎日睡眠不足が続く人と良質な睡眠を継続している人では、不妊の面だけでなく健康や美容などにも影響を与えるでしょう。
この睡眠をどう考えるかによって、不妊の悩みを解消させる第一歩となるかもしれません。
入浴で体を温めたり、日中の適度な運動、なるべく早めに夕食を済ませる、部屋を暗くして寝るなど、ぐっすりと眠るために自分に合った方法を探してしてみてください。
妊娠しやすい生活習慣の一つに、疲れやストレスをため込まないストレスフリーの生活を送ることも大切であるとよく言われます。
不妊と向き合う場合は特に、精神的な状態も大きな問題となってきます。
人間の脳にある視床下部というところが、生殖ホルモンをコントロールする役割をになっています。
過労やストレスを日常的に感じすぎると、この視床下部がストレスに反応して機能が低下し、生殖ホルモンの分泌が妨げられてしまいます。
これにより生殖ホルモンの分泌が減ってしまうことが、ホルモンバランスの乱れにつながります。
ホルモンバランスが崩れると女性の生理周期が乱れたり、排卵機能が低下してしまう場合があるため、これが不妊の原因になると考えられています。
不妊の状態が長く続くと、多くの人はさらなるストレスを感じ、どんどん妊娠しやすい体づくりから遠ざかってしまうという悪循環になってしまうのです。
重なる過労やストレスは、男性の勃起不全などを引き起こし、射精がうまくできずに男性ホルモンの低下へとつながっていきます。
男性ホルモンの低下は精子の数や運動率の低下、性欲の減少などをまねき、妊娠しやすい環境づくりの妨げになってしまうのです。
複雑な現代社会においては、男女ともに誰もが様々なストレスを感じてしまうと思います。
心身の疲れによって不妊になっている場合も少なくありません。
しかし、完全なるストレスフリーの毎日を送ることは、ほぼ不可能です。
大切なのは、ストレスをため込まずに上手に解消しながら、ストレスとうまく付き合っていくことです。
特に不妊の治療を進めていく場合は、我慢することが多くなります。
妊娠したいと思えば思うほど、自分でも気が付かないうちにストレスをためてしまっているものです。
でもそれは仕方のないことで、きっと不妊に悩むほとんどの人が同じようなストレスを感じています。
まずは不妊にストレスはつきものだということを、自分自身が自覚してあげましょう。
その上で、少しでもストレスが和らぐように、好きなものを食べたり、安らげる場所へ出かけたり、誰かに話を聞いてもらったり…
自分に合った方法で、できるだけゆったりとリラックスした気持ちで妊娠を待つことが、妊娠しやすい体づくりにもつながっていきますよ。
最近、妊娠の確率を上げるために使われることが多くなった「排卵検査薬」、ご存知の人も多いのではないでしょうか?
妊娠するために、排卵日を予測することはとても重要です。
基礎体温をつけることや簡単な計算によって、排卵日を導き出す方法を紹介してきましたが、排卵検査薬を使うと誰でも簡単に、そしてより精度高く排卵日を予測することが可能になります。
排卵検査薬を使うと、尿に含まれる成分から排卵の兆候を調べることができます。
排卵検査薬の仕組みは、排卵を引き起こす黄体形成ホルモン(LHホルモン)の濃度を尿から測り、それに反応して陽性反応を示します。
このLHホルモンは、排卵時以外にも普段から少量は分泌されているホルモンで、常に体内に存在しています。
しかし、排卵の直前になると「LHサージ」と呼ばれる現象が起き、LHホルモンの分泌量が急激に増えます。
気を付けなければならないのが、LHホルモンは普段から体内に存在しているため、排卵時期以外にも排卵検査薬が陽性を示すことがあります。
ただしLHサージの時にはよりくっきりと陽性反応が出るはずなので、そこを正しく見極める必要があります。
つまり、排卵検査薬ではっきりと陽性が出た場合、その約24~36時間以内に排卵が起こるということになります。
健康な男性の精子の寿命は約3日間と言われているので、排卵検査薬で陽性が出たLHサージのタイミングで性交をするのが、妊娠の確率を上げる方法となります。
しかし、やみくもに排卵検査薬を使っても、LHサージのタイミングをつかむのは難しく、排卵検査薬を無駄にしてしまうことも多くなるでしょう。
やはり、基礎体温をつけてある程度の排卵日の予測を立て、排卵日であろう日の2~3日前から排卵検査薬の使用を始めるのが望ましいと思います。
誤解しやすいのが、排卵日ぴったりに合わせて排卵検査薬を使うやり方です。
LHサージは排卵日の直前に起こるものなので、排卵日当日のタイミングで使用するのは正しくありません。
排卵日当日が最も妊娠しやすいと思われがちですが、一般的に排卵日の1~2日前に性交を持つことが妊娠率を上げるとも言われています。
基本的に排卵検査薬は、数日間連続して使うことになりますが、毎日同じ時間帯に検査を行うようにしましょう。
そうすることでLHサージのタイミングを逃すことが少なくなり、結果の精度も上がります。
極端に安価であったり海外からの類似品などの購入は避け、正しく上手に排卵検査薬を活用しましょう。